<R-18>ひなたぼっこ/相川紅理





※この作品は性描写が含まれます、ご注意ください※



ひなたぼっこ



ふぁとファイは欠伸をした。お盆の湯呑みの茶が揺れる。日本国の秋。白鷺城近くの借家の縁側にファイはいた。今日は黒鋼とファイは休みの日だ。同じ日に休日なんてめったにない。庭には、紅葉が赤く色づいており見ごろを迎えている。
「おい」
背後から声をかけられ、ファイは振り向いた。
「黒たん」
黒鋼に微笑む。黒鋼はファイの隣にどかっと座った。
「すっかり秋になっちゃったね」
ファイが微笑みながら言う。
「だな」
黒鋼は答えた。
日本国には四季がある。季節がめぐるが、一つとして同じものはない。ファイはそれを日本国に来てから初めて知った。知った時は大層驚いたものだ。
(黒たんは色んなところに連れて行ってくれた)
満開の桜。夏は朝顔に桔梗。秋は紅葉。冬は椿。
今だってこうやってそばにいてくれる。ファイはそんなことが嬉しかった。
立ち上がり黒鋼がなにか取りに行く。コトンと置かれた音にファイは振り向いた。酒瓶と杯二つ。
「お酒?お昼から〜?」
「休みだし、いいだろ」
「健康によくないよー」
ファイがくすくす笑う。
何をとりに行ったのかと思えばお酒。彼らしいといえば、彼らしい。
「おい」
返事する間もなく、黒鋼が近づきファイに口づける。軽く口づけられ、二人は視線を合わせた。
「ここで……するの?」
合わせに手を入れられ、ファイはたじろいだ。時刻は昼。庭の草木が目隠しになるとはいっても、まだ人の目もある時間帯だ。
「誰もこねぇよ」
黒鋼がファイの着物を半分ほど脱がせた。白い首筋に黒鋼は口づける。
「あ、……っ!」
びくっと震える様はまるで生娘のような反応で。ファイが体を赤く染まらせた。
「抱かせろ」
黒鋼がファイの耳元で囁くと。また震える白い身体。欲の灯る眼がファイを見る。ファイが近づき黒鋼に口づける。それが了承の合図だった。





◇◇◇◇◇


「んん…っ」
座る黒鋼の上に乗り、極力声を出さないようにしようとファイは口を噛みしめていた。上下に揺らされ、いいところに当たり、都度声をあげそうになる。
「唇、切れるだろうが」
黒鋼の呆れるような声に、ファイは黒鋼を睨む。涙の滲む目で黒鋼をみても黒鋼には効力はなかったが。綺麗だと黒鋼は思った。どんなに穢しても色でいうなら白色だ。金の髪から滴り落ちる汗。情欲にそまったひとみが自分だけだと思うと、黒鋼はぞくぞくした。じっと記憶するかのように黒鋼が見つめているとファイが近づき、口づけされた。白い手が黒鋼の頬へと触れる。
「こんなところで止めないで。もっと頂戴。黒様」
ねだる言葉。待っていたかのように、黒鋼は激しく突き上げる。あ、あっ、と声が漏れた。きゅうと内壁が締め付ける。黒鋼は最奥へと精を放った。ほどなくしてファイも外へと白濁をこぼれさせた。


「せっかくの休日なのに……」
部屋に布団をしかれ、横たわったファイは黒鋼にぶつぶつ文句を零す。黒鋼がそばに腰を下ろした。
「水、飲めるか」
黒鋼が尋ねる。ふとファイはいじわるしたくなり「飲ませて」と頼んだ。断るだろうと思っていたのに、口にふくみ黒鋼が近づく。上体を起こし、ファイはそれを受け入れた。こくりと水を飲み干す。
「断らないんだ」
「おまえをとことん甘やかすと決めたからな」
「……そう」
ぷいとファイはそっぽ向く。
久しぶりの休日は、甘い。砂糖菓子のように甘甘だ。さて、どうやって甘えようか。甘やかそうか。などと考えていた魔術師と忍者だった。

End.






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あとがき
かなり遅くなってすみません…!!参加してくださった方、たくみちゃん、ありがとうございます。こうして続けられるのも皆様のおかげです。
私は前回と同じくR指定の話になりました…。「ひなたぼっこ」がお題だったのですが、ただのほのぼのじゃなくてR指定!!と茶会で言ってたらざわっとざわついていました。期待どおりにしてみましたよとか言ってみる。
主催の相川のみ違う方向に突っ走っていてすみません。
「記念にあみだ企画を、本にしてみるのはどうなんでしょう?」というお話もあるのですが、参加者様、また閲覧してくださったご訪問者、もしくは黒ファイ同士様いかがでしょうか?こっそりアンケートもとりたいな…と思いつつ……。本にするなら、前のあみだ企画の軍人パラレルの後編をかきたいなとおもっております。かきおろしとしていれてみたいですね。
ほかの参加者様の作品、楽しみにしております。